試験の周辺から考える

 試験を考えるときは、焦点を、試験そのものよりも、試験の周辺に置くと、見えてくるものが多い。たとえば、受験生にとって最も切実な数字に合格率がある。

 合格率がおおむね10%を切る試験は難しい試験で、逆に10%以上あるようなら、比較的易しい試験と考えてよい。合格率が10%以下の試験は、やることをやらない限り、まず受からない。運ですら合格できないわけで、受験には、ある程度の覚悟が必要となる。

 逆に、高い合格率を誇る試験では、あんまりやらなくても、少し手を抜いてもコロッと受かることが多く、それほど真剣に勉強する必要はない。このように、合格率の数字から、試験勉強の尽力度というか、本気度というか、時間と労力の投入割合を調整できるわけである。

 合格率の数字を見るときは、ついでに、合格率の推移もおさえておくと、試験の実際がよくわかる。もし、合格率が乱高下しているのなら、たとえば、合格率が、5%→20%→2%→9%→15%→3%」という感じに、急激に上がったり下がったりしているのなら、合格は「運」の比重が高くなる。合格率がそんなにも上下するのは、試験問題が一定化していないわけで、受験生の立場からすると、対策が取りにくいわけである。

 合格率が激しく上下しているのなら、自身の努力の価値を過小評価しないことである。穏当な努力はしたが、予想外の出題のため不幸にも落ちてしまっても、運が悪かったと考えて、不合格の衝撃から自身を立て直していく。全く予想外で、これまでの傾向にない問題が出されたら、やはり、自力での合格は難しいといわざるを得ない。逆に、合格率が一定の幅に納まっているのなら、ある程度の対策は取れるわけであるから、運を落ちた理由に持ち出せない。試験勉強の進め方等を、猛省することとなろう。

 ついでにいうと、合格率が常に一定の数字になっているときは、数字を丁寧に読み取る必要がある。もしかしたら、競争の激化防止・資格のブランドの維持といった政治的な理由によって、主催者側は一定の人数しか合格者を出さない方針かもしれないからだ。この場合、どれほど勉強して実力が付いたとしても、受からない可能性があることを知っておくべきだろう。つまり、どれほど合格するに足る知識や素養があっても、または、その資格を有する実力があったとしても、合格者の席が空くまでは受からない、といった次第である。

 次に、申込者数と受験者数の差も、試験を考える上で有意な数字である。その数字は、受験料を払い込んだが本試験を受けなかった人を示しているわけだが、試験勉強の難易度を現している。人数が多ければ多いほど、実際の試験勉強に手を焼いて、本試験までに仕上げられなかった人の存在を物語っている、というわけである。こちらとしては、試験勉強の着手を早め早めにする、より多くの勉強時間を見ておく、といった対処をすることとなる。

 あと気をつけるべきは、申込者数・受験者数の増減である。もし、増加傾向にあるときは、試験自体が難しくなることが考えられる。試験の主催者は、どうしてもある一定の合格者しか出せないために、得てして試験は難問化する。逆に、減少傾向にあるときは、ライバルが少なくなっているわけだから、相対的に合格はしやすくなる。

 なお、現在では、合格者の出身学部、最終学歴、職業をも公表する試験もある。これらからも、その試験の性質を読み取ることができる。受験者のうち大卒が多いときは、試験自体は何とでもなると考えてもよい。しかし、専門学校卒が多いと、試験は専門的になる傾向が見て取れる。おそらく、専門的な勉強に手を焼くことになろう。

 出身学部の割合も同様である。合格者がいろんな学部にばらついていれば、勉強自体は何とでもなる。要するに、専門的な出題がないから、どんな学部でも受かる次第である。これがもし、合格者がある特定の学部に偏重しているなら、専門的な勉強に手を焼く予感は大である。

 次いで、受験者並びに合格者の職業別の割合も、いろいろと見えてくる。様々な職種の人が合格していれば、あまり勉強に苦労することはないが、たとえば、エンジニアが合格者の7?8割も占めるようなら、ド素人は専門的な勉強を徹底的にやる必要が読み取れよう。

 試験というと、机の前の作業だけを思い浮かべる人が多い。けれども、ときには、勉強の手を止めて、または、勉強への意欲が湧かないときなどに、公表された試験のデータや資料を参考に、試験というものを捉えなおしてみる。

 試験の現実や実際への理解を深める都度、勉強の負担は和らぎ、気持ち的なものは軽くなる。逆を言うなら、根拠の薄い予想や憶測、勝手なイメージほど、疲れさせるものはない。古人は、知は力なり、といっている。知らないが故に、力不足でくたびれるのだ。妥当な判断と真実とがあれば、自然と力は湧いてくるのである。

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