鬱々としたら日光浴
試験勉強を続けていくと、どうしてもやる気と意欲の減退に遭遇する。この難題を、どうしたらよいか。1つは我慢をすることである。最も手っ取り早い。一生我慢するのなら耐えられないけれども、本試験の日までの数ヶ月なら、何とか我慢できる。 しかし、我慢ができないときは、どうしたらいいか。ほんとうにやる気が出ない。テキストの1ページ、問題集の1問ですら、やろうという気が起きない。が、頭では(やらなくちゃ)と思っているし、何かが強くそう命じている。アクセルを踏みながらブレーキも踏んでいるような状態だ。こうしたときは、どう処置を取ればいいか。 答えとしては、まず、自分がよく知りたるやる気の鼓舞をやってみることだ。これまでに、何度もやる気の落ち込みを経験してきたはずで、これが初体験というものでもなかろう。これまで何とかやってこられたなら、これからもやっていけるだろう。自身が今までにやってみて、やる気が改善したものをやってみる。新しい何かをやるより、手馴れたものの方が、多分にうまくいく。しかしながら、そうしてみたり、また、格言や名言を山ほど頭に入れてみたりしても改善のないときは、どうしたらよいか。 わたしが思うに、やる気の問題というのは、勉強をする環境と大きく関わっているような気がしてならない。やる気と意欲のなさが深刻な際は、自身の運動量と、そして、日光浴の時間の長さを調べてみる。この2つが少ないときは、おそらく、やる気はかなり損なわれているかと思う。そう気が付いたのは、刑務所の本を読んだときである。 刑務所や監獄の囚人には、日光浴と運動の時間が設けられている。1日に必ずその時間が設けられ、管理の下で、囚人は、運動と日光浴をさせられる。これは、決して彼らの自由時間ではない。やっていないと銃口を向けられる。運動と日光浴は、囚人の義務なのである。どうしてか。理由は簡単で、そうしないと、囚人の心身が確実に弱まるからである。身体の弱まりは管理が楽になるからいいとしても、精神の弱まりは実に困る。無理だと知って脱走を企てる頭の弱い輩が続出するし、自傷行為が増えたり、自暴自棄となったり、規則に従えなくなったりする。精神の緩んだ囚人は、刑務所全体の秩序への影響が大きいと言わざるを得ないのである。 勉強というのは、当たり前すぎて忘れているのだが、得てして、室内で、そしてよく夜間に行なわれるものである。そして、よくよく我が身を振り返ってほしいのだが、我々は、あまり日光を浴びない生活をしている。営業職といった外の勤めならまだしも、内勤なら一日中建物のなかである。外見だけを見てみれば、囚人の生活とそう変りはないのである。 光というのは、蛍光灯のそれではダメなのである。おそらく、お日さんの光には、まだまだ、わたしたちの知らぬ力なり効果なりがあるように思われる。わたしたちの心身にとって、蛍光灯と太陽の光とは全く異なる性質のものなのであろう。でなければ、わざわざ、刑務所で手間を押して、日光浴と運動の時間を取らせるはずがないのである。 もし、運動不足と日照不足が見られるなら、早速、今でも明日にでも、外に出て太陽と顔を合わせるべきである。くだらない報告や見ておくだけの業界紙チェックは、屋外でもできよう。公園で弁当をつつくこともできる。テイクアウトもできる。太陽の下で仕事をすることの多い人たちは、どう見ても頑強そうに見える。やはり、お日さまの光がそうさせているのではないかと、独り思っている。1〜2時間でも日光浴ができれば、本当によく眠れる。安眠とは、お日さんの光がもたらすものか、と実感からそう思う。 わたしが散歩に開眼したのも、試験勉強があったが故に、と思うようになった。もちろん、散歩をして身体を動かし、お日さんの光を浴びたからといって、心中の鬱々が劇的に治るというわけではない。が、2〜3日も日光浴と運動を続けてみれば、確実に楽に、すうっと軽くなってきているのは実感できるように思う。世界の多くの宗教が太陽を崇めるのも、よくわかるのだ。 見落としがちだが、我々の身体の作りは縄文人のそれと大きくは変化していない。生活環境は変ったが、人体の構造自体は何1つ変ってはいないのである。生き物としての我々は、やはり太陽の光は欠くことのできないものであるように思う。お日さまの光を浴びながら身体を動かすということは、我々が数千年の間やってきた、伝統的な生き方であった。お日さまの光とそれほど接しなくなった現代生活が極めて特殊のように、十分に考えられるのである。 『お天気の日はお散歩へ』というのは、蓋し、人間の生理に適った名言であった。お散歩の時間は、幼稚園や保育園のものだけではない。いい大人であっても必要なことだと、実に思う。技術や社会機構がどれほどに発展しようとも、我々には、日向ぼっこの時間が求められているのである。 |
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