心配するには及ばない

 基本的に、試験勉強は準備と計画から始まる。勉強が一定しない人は、大方この2点がずさんである。ずさんどころか、何にも手がけていないこともある。おもむろに教材を買って来て机の上で開き、疲れるまで勉強するといった次第である。三日坊主の典型である。教材は、特に独学で行くなら、吟味に吟味を重ねなければならない。勉強時間の捻出も、準備の内に入る。できる雑用は先延ばしせず、さっさと済ませる。躊躇する時間が1番無駄だ。できそうにないことは先送りする。できないことに時間を使うのも無駄だ。

 緻密な計画を練る。計画の基本は5W1Hである。何を、何処までを、何時までに、どのように、何故やるのかを考えて紙の上にまとめていく。何をどうするかも分からないうちに勉強に臨んでも疲れるのみである。走る距離もゴールも分からないマラソンをするが如しである。できるなら、細かな時間までも設定したい。9時からは○○をする、10時からはテキストを読む、寝る前に暗記事項に目を通す、とやるべきことを事細かく、具体的に決めていく。

 準備と計画が、具体的かつ明白なものなら、実際の勉強のハードルは大きく下がる。一口に「行動」という。「行動家」という。しかし、真のそれ(その人)は、準備家や計画家といっても過言ではなかろう。蛮勇は行動ではない。試験勉強が継続しない人は、行動力がないというよりかは、準備と計画に疎漏がないかを確かめるべきである。それから、行動の方を見ていっても遅くはない。実行如何は、2つに拠っているところが多い。

 実際の勉強は精力的に行う。片手間にやってはならない。精神の力を用いて一生懸命にやることである。最初は見掛けだけでも、ふりでも、物まねでも、演じるだけでもよい。やっていくうちに身が入っていく。ふりでもいいから精力的にやる。いつしか本当の姿勢となる。

 勉強のあとは反省する。勉強の進み具合を確かめる。よかったところを探す、よくなかったところも応じて探す。できるようになったところを調べる。できないところ・わからないところはどこかチェックを入れる。時間のかかりそうなところ、あとあとやった方がよさそうなものを選り分ける。時間をかければできそうなものがあればリストアップしておく。暗記事項・記憶事項を挙げておく。また、準備に手抜かりはなかったか、不足していたことないかチェックする。計画に盛った内容は適切であったか、分量は丁度よかったか、難易度は適切だったかを調べる。気づいた事は紙に書き出してみる。日記に書くのもよい。

 反省をすると、多くの教訓と課題を得ることになる。それらは取りあえず、紙にでも残しておく。しかし、それら全てをどうこうするわけではない。その中から現状の自分にとって重要かつ重大な事を最大5つまで選び出す。5つ以上はたくさんである。欲張るとすべてがダメになる。5つにまで絞って改善策を練る。そして、反省で得たことを元手に、再準備と再計画、そして、再実行に取りかかる。

 試験勉強は上記の4過程で進めていくことになる。しかし、これらに共通する、ある根底的な考えがある。それはどの過程においても、心配してはならない点である。

−準備すべし!しかし、心配するに及ばず。
−計画すべし!だけど、心配には及ばない。
−行動すべし!但し、心配はしない。
−反省すべし!心配せずとも、物事は進む。

といった塩梅である。

 なぜか。心配しても問題は解決しないからである。心理経済ともいうべきか、心配することに心を砕くのであれば、その分を、準備や計画、過去問演習や復習なりに充てる方がよっぽど合格という目標に適うからである。心配では1ミリたりとも合格に近づかない。何も生まない心配は、心のエネルギーの配分先としては不適格なのである。

 わたしは、「心配事項実現率」という少し小難しい言葉が好きである。心配していたことのうち何%が実際に起こったか、その割合を言うのだが、まあその実現したことの数少なさと、心配する種は引きもきらないことに驚くことがある。これまで心配した数とそれらが実際に起こった数を勘定してみれば、いかに心配が余計なエネルギーを食っているか、理解できるように思う。何かを心配していたはずだが、今となっては何を思っていたかも定かでない心配もあろう。心配は本当に、そういうものでしかないのである。

 できるのかと深く心配したところでやらないとできないし、忘れるかもと心配しても、何度も見返さない限り忘れる方が自然である。あれこれ先を不安に思うよりも、いま自分のできることを計画にまとめ、目的を果たす準備をしていくほうがよっぽど勉強は進む。実力も付く。

 結果は穏当な形で訪れる。やらないとできない。できないと受からない。ごく単純なことだ。心配は、やったことにはならないのである。改めて、心配するには及ばないのである。

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