知っている?

知っているだけでは、試験には通らない。知っているだけなら、受験生のほとんどができる。試験で肝要なのは、知っているか否かではなく、知識としてきちんと憶えているかどうかなのである。

「知っている」というのは、哲学上で難しい問題のようである。以下は小理屈、言葉遊びの類であるが我慢して読んで頂きたく思う。

たとえば、「○○知ってる?」と聞かれた際に、「知っている」と答えたとしよう。そして、「それでは、どうやって知ったの?」と質問されたとする。あなたは、勉強した、やったことがある、何度か見聞きしたとでも答えることだろう。

しかし、では、こういわれたとしたらどうするか。「知るためには、前もって知ろうとする対象を知っておく必要がある。なんなれば、全く知らないものを知ることはできないからだ。あなたは○○を以前から知っていたが故に、知ることができたわけである。ならば、あなたのいう勉強した、見聞きしたというのは間接的なことであり、直接の要因ではない。ということは、あなたはどうやって、もともと知っていたことを知ったのか?」と。

また、こんな理屈もある。「○○という人を知っているか?」「知っている」「ならば、彼の髪の毛は何本だ?」、と。こんなことは長年連れ添った配偶者のそれですらわからないであろう。ゼロになった人もいるかもしれないが。まあ、つまりは、あなたの知っていることはごく一部についてであるわけであるから、知らないというのが正しいのではないか、という理屈に続くのである。

こう見ていくと、「知る」「知っている」という、よくありふれたことでも、奥が深い理屈が成り立つものであることがわかる。しかし、この「知る」理屈を突き詰めると、心身症になるか毒入りワインを飲まされる羽目になるので、ここでは深入りしない。

とはいえ、こうした理屈に慣れていると、詐欺や下手な儲け話にひっかかることが少なくなるので、読んでおいて損はないだろう。少なくとも銀行の投資窓口の舌先三寸にはひっかからないであろう。「あなたは、その商品を知っているのか?」と。「自己責任というが、そちらの運用責任はどうなるのか?」と。あと一言。所詮は他人の金である。もうだまされまい。

さて、このように難しくややこしい「知る」であるが、試験勉強においては、それほど構えることはない。なぜなら、明白な「点を取る」という基準があるからである。試験勉強とは、資格を有するに相応しい知識の有無を量っているものである。その知識量が一定の量と正しさがあれば合格するわけである。味気のない言い方だが、試験勉強とは、点を取るために知る作業ということができる。

勉強するとか、知るとか、憶えるとか、では不足なのである。それらだけでは、実に広い意味を含んでいる。そこに、「点を取る」と付け加えることで、より具体的に、わかりやすいものとなる。勉強するだけではいけないのである。ぼんやりとテキストの文言が浮かぶような勉強ではいけないのである。(今日は○○をやった。○○でまず憶えるべきことは、5個くらいあるので、おいおい憶えていけばよい。5つおさえれば、1点は堅い)とか、(今日読んだテキストに太文字は○個あったなあ。全部憶えておけば、出たときに1点取れる)くらいに、点に意識して勉強をすべきである。

知るといっても、知っているだけでは点は取れない。憶えているといっても、きちんと正確に整理して憶えていかねば、本番で思い出すことができない。試験勉強においては、「点」というベンチマークがあってこそ、充実したものになっていくのである。

試験勉強とは、決して形式的なものではない。もっと、実質的に、個人的に、自分的に進めていかねばならないものである。毎日、定時定刻にテキストを開いて問題集を解けば合格するものではないのである。自分がどうなのか、点が取れるようになっているのかどうかが大切な勉強上の基準なのである。

点を意識すると、確かに勉強の歩みは遅くなる。やることが多くなってくるからだ。しかし、1ヶ月・2ヵ月先の実力の伸びは違ってくる。テキストの読み込み方が違ってくる、問題の解き方が変わってくる。進歩や成長が感じられなくなったら、形式に堕していないか、見直してみることである。

単に知っている状態は、「できる」の前段階、1点には届いていない状態であることを認識することである。未だ不十分であり、手を加える必要のあることを知っておくべきである。

単に知っている状態になるには、誰でも適当に勉強していけばなれる。差が付くのは、できるまでどう自分の工夫を重ねるかである。それには、今もっている自分の力を発揮する必要がある。何も当てにはできないのである。

隣で寝ている人を当てにして、何度裏切られたであろう。自分の力に気づくことが、身になる勉強にするコツなのである。

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