それほどではない

試験問題の繰り返しは多い。であるから、問題集や過去問で頻出する問題を落とすことは致命的なミスとなる。また、テキストの重要事項、重要語句・用語、そして重要定義の問題で点を落とすのも、同様に致命的な失点となる。というのも、そうした問題は、ほとんどの受験生が点を取るからである。取れる問題を落とすと、当然ながらほかの問題で失点を取り戻さなければいけない。

しかし、そうそうにはうまくいかない。簡単な問題、頻出問題、取れる問題は、これまた、ほとんどの受験生が点を取る。あなただけでなく皆が皆点を取るので、失点をカバーするには至らない。結局、難易度の高い問題や中程度のレベルの問題で、失点を取り戻さなければならなくなる。多くもない運を浪費し、難しい問題に時間をかけて正解して、ようやくその他の受験生と同一線上に立つのである。難問に払った手間と時間は、元に戻ることに費やされたのである。試験開始直後の3分間は、皆と同じ位置にいたのにもかかわらず、である。このように、点の取れる頻出問題や重要問題を落とすのは、失点を回復するのが実に困難なために、試験において致命的なミスとなる。

しかしながら、試験勉強にはもっと大きな重大なミスがある。大きなミスと聞いて、まず思い浮かぶのは、資格の選択ミスである。その名の通り、受験すべき資格の選択を間違ったのである。テキストを読んでも、過去問を見ても、問題集を開いても、まったく何ひとつ興味が沸かない。基本的に、人は不得手をするために生まれてくるものではない。得意なことをするために、そして、自分の能力を発揮するために生まれてきたのである。資格にも得手と不得手は確実に存在する。

矢は尽き刀は折れ全然だめと思うのは、それは、神様のやらなくてもよいというサインである。根気と努力は試験勉強の基本であるが、だめなものはだめである。ひとつも興味も好奇心も沸かない勉強はやってはいけない。合格後もそれほど役には立たない。資格の勉強にも適性の問題はある。全くだめは避けるのが、人生の賢明な選択肢である。

次の大きなミスは、期間設定の誤りのミスである。試験勉強期間は程よいものでなければならない。長期間を見ると途中でだれるし、短期間だと試験勉強はハードである。超集中で一生懸命になるのはいいが、試験後に身体と精神のバランスを崩して、絶不調に陥ることもある。幸いに合格なら絶不調も副作用として我慢できるが、落ちてしまったら目も当てられない。短期集中型でも実力は伸びるが、合格にはあと一歩が多く、合格点へわずか1点・2点で落ちることが多い。このような場合、たいがいは受験後に完膚なまでに打ちのめされ、再受験の機会を自分で潰しかねないのである。

試験勉強は、短すぎても長すぎてもよくない。期間設定がうまくいかないときは、次の機会にするか、それなりの覚悟を決めて試験勉強に臨む必要がある。

次は、お手本のミスである。字面どおりに、お手本を過つと余計に時間と手間を食う。代表的なのが、テキストの選択誤りである。テキストも松竹梅、上級中級初心者と分かれている。まったくのド素人であるのに、上級者用を掴んでしまえば、試験勉強はいばらの道となる。どうにもわからない、理解できない、憶えられないの連続で、抜け毛は一気に増えるであろう。また、お手本の間違いとして、参考にした勉強方法の過ちがある。まったく生活環境が違う人の意見を自分に取り入れていたりする。学生のやり方と社会人のとでは、大きく食い違うのはいうまでもない。簡単だ!という人の出身学部や仕事がそれ絡みであったりする。また、独学に向いていない人が独学を採ったり、通学に向かない人が専門学校に通ったりすれば、やはり、試験勉強の歯車は回らない。

試験勉強には、致命的なミス以上に遥かに大きなミスがある。逆にいえば、これらの大きなミスを免れていれば、それほど致命的なミスはないのである。これら大きなミスは、試験勉強の成否の重要な部分を担っている上、影響は勉強全般に及ぶ。そして、対策は後手に回るか、大対策になりがちである。先だって述べた致命的なミスなど、勉強の根底をなす大きなミス群と比べれば、影響力は小さい。

いってみれば、中小のミスなのである。試験勉強は中小のミスに左右されてはしまうが、有限で対処可能な分、改善と阻止が可能である。根本にある大きなミスさえ免れていれば、勝機はじゅうぶんにある。中小のミスで勝ち負けは決まらない。ただ本試験で取り戻し難いだけで、中小のミスは日々の意識と勉強の積み重ねで必ず防ぐことができる。そもそも、そこまで勉強できた事実が、大きなミスを犯していない証拠である。身を一歩引いて、自分は大きなミスからは免れていると考えてみる。いくらでも、何とでもなる些少なミスに悩むことはない。根っこの人生観の部分で勝てばよいのである。

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