長所大作戦

自分に合うやり方で勉強を進めるべきだという。本当だろうか。本当である。勉強というのは個人的なことである。であるから、己に合うものが一番よいことになる。星の数ほどやり方や方法はあるが、どれもが決定打に欠けるのは、我々の個性が千差万別であるからである。Aさんにはうまく行くやり方が、Bさんには何の効果もないときもある。

飛躍したたとえだが、勉強のやり方は臓器移植に近く、合わなければ徹底的に合わないが、合うときはすんなりいくものなのである。逆に、自分に適したやり方を模索するのが、勉強の一面といえよう。

では、自分に適したやり方や自分に合った方法というのは、どういうものだろうか。それを考えていきたいのだが、こうした問題には注意が必要である。なぜなら、合うものを求めてはいけないからである。先だっていったように、世の中には有象無象の方法論がある。自分に合うかどうかをひとつひとつ検証していたら、あっというまに白髪となる。合うものを求めるよりかは、やってはならない禁止事項やタブーをおさえると話がはやい。それらは限定できるし、それらを知って避けるだけでもうまくいく。

たとえば、配偶者選びである。「いい人」や「理想の人」、「好みの人」というのは、いくらでも出てくるものである。目移りする。このままでは選べない。ならば、これだけは許せない、いやだという点から候補を絞るわけである。こうすればはやいし、下手を打つ可能性も少ない。夫婦というのは、お互いの顔を見合って、これならましだ!を選んだ同士ともいえる。武士は相身互いという。

さて、勉強に話を戻そう。自分に合う勉強を求めるときは性格に着目する。というのも、性格に合わないやり方は必ず失敗に終わるからである。勉強方法は性格で選ぶべきなのである。実のところ、勉強というのは頭の良し悪しより、性格に拘束される。三つ子の魂百までというが、もって生まれた性格というのは実に根深く巣くっている。なかなか改まらないので、性格に反するものの多くは失敗する。逆にいえば、性に合わないから失敗するのである。

であるから、勉強方法が自分の性格に合うかどうかを、まずは見極める必要がある。学ぶのは我々である。気の大きな人は、おおらかさに応じた勉強方法を取るべきである。短期突破法のような短い期間に詰め込むような勉強を知れば、途端に頓挫するものであろう。細やかな人は、その気の効く面を発揮できる勉強方法を採る。丹念にこつこつまじめさが求められる復習主体の勉強なら、実力はスムーズについていくであろう。

勉強方法とは、自分の性格から見て選ぶべきなのであるが、ここには大きな約束事がある。自分の性格のうち、長所の部分を見るということである。方法は長所から選択されねばならない。短所や欠点から始めてはいけないし、それらを改めないとできない勉強方法に手をつけてはいけない。先ほどの例でいえば、気の大らかな人が、その大雑把振りを修正しようとしてはいけないのである。逆に、気の細やかな人は、大雑把に仕上げるやり方は我慢ができないであろう。毎日の復習が大事といわれても苦手な人もいるし、マメでない人もいる。ならば、それなりに模索して、自分に合うよう勉強を組み立てねばならない。土壌に合わない作物が育たないように、自分の性格に合わない勉強も芽は伸びない。

結局のところ、どんなにいい方法であっても、自分に合わねばうまくいかない。うまく行かない方法でがんばってみても、結果は知れている。であるならば、多少は非効率なやり方であっても、自分に合う方法で結果を求めたほうが賢明であるといえよう。どんぐりでパンを作ることはできる。何度も煮て灰汁を抜き天日で乾かし、石臼で挽いて粉にする。そうしてできた粉でパンを焼くわけである。現に縄文人は食べていた。おいしそうだが、どんぐりを粉にする膨大な手間を考えれば、パンはどんぐりよりも小麦で作るほうが合理的である。どんぐりを品種改良するよりも、今ある小麦を植えたほうが好都合であろう。

やはり、どんぐりはリスの食べ物である。自然の摂理はうまくできている。我々の性格とは人工的なものであるというよりかは、自然の一部と考えるべきなのである。

己を知るというのは、自分の長所を理解し、短所に気づくことである。己を活かすというのは、長所を伸ばし、短所を忘れることである。もっというなら、長所に適うものであれば伸びるしうまくいく。短所を直そうと、短所を正そうとすると失敗するし、ひどく手間取るものである。勉強は、長所が伸びるべく、長所が発揮できるように行わねばならない。自分の良さを引き出す方法を採らねばならないのである。短所や欠点など無視して、この際、忘れてしまったほうが勉強はうまく行くのである。とはいえ、だからといって、あなたの3段・5段のお腹が許されるものではない。

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