点数分布から

試験の点数の分布を見てみる。100点に近い人はごく稀にしかいない。逆の0点の人も、同様に極めて少数である。多くの受験生は、50〜70点の点数圏に固まっている。そのためか、合格のボーダーラインは平均点の1割か2割り増しの点数に引かれることが多い。点数分布の姿は、頭とおしりが細くて胴体がでっぷりしている。まさにわれわれの5年後のボディラインをしているのである。

試験勉強の真実として、ある程度そこそこの勉強でも点数は取れるという事実がある。そう、適当に大雑把に勉強していても、試験の点数は取れるものである。運がよければ、平均以上の点数も取れてしまう。最高得点や最低点を取るほうが難しいのが試験である。

100点や90点といった高得点を取るには、当然ながら人の倍は勉強しなければならないので難しい理由はわかる。しかし、0点というのはある意味、意図的に取ろうとする意思がなければなかなか取れないものである。かくいうわたしも、生涯の最低点は中学2年の2学期の中間テストでの数学12点までである。なかなか0点というのは取れない。のび太くんは偉大である。

試験には、どんな人でもある程度勉強すれば取れてしまう点数がある。だいたい10〜40点くらいは、それほど勉強らしい勉強をしなくても自然に点数できるものである。平均すれば25点。われわれは、適当に試験勉強に臨んでも25点は確保できる立場にあるのである。合格点が60点だとすると、残るは35点となる。あと35点分を確保する勉強をすれば、ぎりぎりであるが合格ゾーンに入ることができる。

ほぼ間違いなく合格できる点数は70点であるから、確実に合格しようとするなら残る45点を追求していくことになる。われわれが意欲的且つ自主的に努力を払うのは、この35点から45点の部分なのである。平均25点は、適当に遊んで歌って暮らす試験勉強でも得点できるのだから、試験勉強では高得点を目指すより35点から45点くらいを確実に取れるように勉強する方が合理的である。

独学は、適当且つ大雑把に進めることをモットーにしている。テキストなんて、試験勉強の序盤なんかには読まない。給料明細を見るかのように薄目でさっと表面を撫でるだけである。実力もつかないうちに、テキストを読もうとしても読めるものではない。だから、適当にざっと読むだけに済ませる。はっきり見てしまうとアタマが混乱する。駆け足でざっと内容がつかめればよい。問題集も同様である。どうせ何回も繰り返さないと確かな力にならないものである。ならば、初回などは初顔合わせのごとく、何が書いてあるのかさえわかればよい。のちの復習や繰り返すときに、内容をしっかり理解しおぼえていけばよい話である。過去問も同様。いきなりまじめにやれば食あたりをする。ざっとどんな風に問題が出されるかを知ればよいだけなのである。

これらのざっとした適当な勉強でも点数は取れる。そう、これらの大雑把勉強こそが、先ほどの誰でも取れる平均25点を確保する勉強なのである。斜め読みでもテキストを読み、復習ゼロでも問題集を解き、適当に過去問を解いても、25点くらいは取れる。だから、独学では、とりあえずでもいいので最後までやってしまい、最低点数ラインを確保するのである。まじめに丁寧にやっていくのはそれ以降である。

自分の間違ったところやわからないところには、集中して取り組む。テキストをいちから読み直してみる。ノートに全体像を書きだしてみる。章なり節の骨子を要約してみる。重要なキーワードの語呂合わせを作って頭に思考軸を作る。個別に時間を割り当てて、集中して復習する。特別なプログラムを作って対応する。このように自分から試験勉強に取り掛かかり、残った35点から45点の部分の勉強をしていくのである。

独学では、結果的には適当にやっても点数できるところは適当に、まじめにやらないといけないところはまじめに努力していく。100点満点を追及するものが試験勉強と考えると、やることは無限にあるような気がしてしまう。しかし、本格的に勉強しなければならないのは35〜45点だと思えば気も軽くなる。適当に話半分の勉強をして最低の25点くらいを確保して、あとは1点1点をこつこつ積み上げていけばよいのである。

勉強は真面目なものだけではないのである。不真面目な勉強、適当な勉強、大雑把な勉強もあってしかるべきなのである。この世にあるものはなんでも、何かしらの理由があるものである。時には、勉強はしたくない、机に向かいたくないこともあるだろう。そんなときは、大雑把な勉強が適したところをスルメでもかじりながらやっていけばいいのである。存在するものは合理的であるという。まさに無用の用を学ぶ瞬間である。とはいえ、いまは鏡を覗いてはならない。

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