独学に健脚を

「肉体と精神は密接な関係がある」なんてことを、大上段からいわれてもよくわからない。しかし、こう考えればわかるかもしれない。健康な方がアタマは動く、と。

常に思うのは、別段、格別にアタマがよくなりたいわけではない。健やかに生きたいだけである。人はその長じる故を以って滅ぶ、という。弁舌に優れた者は、一の失言でその地位を奪われるだろうし、美男美女は多くの嫉妬と妬みから身を滅ぼすだろう。

われわれは、アタマがよくなりたいというよりかは、アタマがきちんと動いてほしいと思うものである。アタマが靄かかったのは困る。文字がうまくアタマに入ってこない。ひどく眠い、寝ても眠くてすっきりしない、などなどである。アタマのよくなる方法はたくさんあっても、よく動かす方法はそうない。

今回考えたいのは、「脚」についである。ご老人には、よく「転ばない、風邪をひかない、寝込まない」ように注意される。これらには共通点がある。転ぶなというのは、年を取った固いカラダへの配慮である。固い体だと軽く転んだだけで骨折する。特に足や腰、太ももの骨をよく折ると聞く。そうすれば、少なくとも数ヶ月は病院のベッドで寝ることになる。風邪も寝るのと関係がある。「寝ている」状態が長く続かないように注意しているのである。これまで元気だったのに、少し入院したら痴呆が進んでいたという話はよく聞く。

痴呆が一気に加速したというのは、脳の機能が退化した、といってよい。脳の機能維持に「脚」というものが、いかに重要な役目を果たしているかをよくよく考えたいのである。「脚」は、単に、走ったり歩いたりするだけではないのである。わたしは、脚の強さが、脳の機能、それは思考力であり論理の把握や、記憶の維持や理解力に強い因果関係があると考える。

おすもうさんの外国人力士が、日本語ぺらぺらで驚いたことがある。おすもうさんは体の大きさばかりに目が行ってしまうが、われわれが注目しなければいけないのは、足腰の強靭さである。蹲踞をしてグッと腰を落とした足の筋肉を、ぜひ見てほしい。太ももなぞ、あなたのおなか周りほどの大きさである。なんという筋肉の張りであろうかと驚く。

脚というのは、第二の心臓といわれる。血液の循環に欠かせない第二のポンプであるのだ。もちろん、最大の第一のポンプは心臓である。運動不足が心臓に悪いのは、血液をカラダ全体に行き渡らせるのに心臓ばかりが動くからという。つまり、脚の血液循環ポンプ機能が少なくなった分、心臓は余計に動かないといけなくなる、だから高負担がかかり弱るというわけである。

アタマの動きと血流に相関関係があってもおかしくない。勉強中はアタマにたくさんの血液を流してエネルギーやら酸素を補給せねばなるまいし、また使用済みの老廃物をスムーズに取り除かねばならないと思われる。別段、脳の専門家ではないが、勉強中に甘いものや水っ気を取ると集中力がぐぐっと復活するし、トイレから帰ると妙にアタマが冴えているものである。

先ほど、外国人力士の話をあげたのは、おすもうさんは得てして下半身を鍛えねばならず、強化された下半身は、血液循環機能を強化せしめる。それはアタマへの血の巡りがよくなる結果となり、総じてアタマがよく動く状態となる。結果として、日本語の学習が通常人の3倍は能率が上がり、日本語がぺらぺらになると考えたわけである。

外国人力士が全員で何人いて、そのうちの何人が日本語ぺらぺらなのかは知らないけれど、サッカーやプロレス・格闘技といった外国人が活躍するジャンルでは、外国人力士が最も日本語能力が高いと思う。少なくとも片言ではない。ウイット、諧謔、ユーモア、ニュアンスまで使いこなせている。ちなみに日本を主戦場とし、25年間以上日本マットに参戦したスタン・ハンセンの日本語は、「ババ」「アリガト」くらいの片言である。

独学は、アタマの良し悪しと関係はない。合格に必要となる、よく考える、よく憶える、という機能は誰にでも備わっていると考える。ただ、われわれは、うまく発揮できていないのである。その発揮のカギは脚にあると、「健脚」にあると考え至るのである。

女優森光子も毎日50回のスクワットを欠かさないという。わたし個人としても、山科の上醍醐に毎月、登るようにしている。京都検定の勉強がきっかけであったが、検定様々である。新陳代謝落ちたのを運動で補うとでもいうか、カラダの悪いもの・古いものが出切るというか、実にリフレッシュする。ランニングやプールでは味わえない爽快感で、もう欠かせなくなっている。

勉強に詰まったら歩いてみることである。勉強に倦んだら脚を使って一汗かくことである。2駅、3駅、長距離で歩くことである。脚のポンプが脳みそ中の詰まった血液やらなんやらをきれいに押し流してくれるだろう。いまからでも遅くない、すこし歩いてこようかな。

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