自信をもって

自信をもてという。自信をもつことは大切という。それは、一体どういうことだろうか?

もつ、というのだから、自信とは何か具体的な物品なのだろうか。しかし百貨店に売ってそうもない。これまで見たこともない。ショッピングをたくさん重ねた人でも、流石にお目にした品物ではなさそうだ。ならば自信とは売買可能な物ではないのだろう。

字を分解してみる。自信という字は、自分を信じる、自ら信じる、と読める。こうなると更によくわからない。自分といわれても意味が拡散している。信じるというのも曖昧である。信仰の意味だろうか。信じるとは疑いがない、少ないという意味だろうか。どれもこう、しっくりこない。このように「自信をもて」といわれても通じないのは、意味がよくわからないからである。

わかるところから始めてみよう。まず、「自信をもつ」というのは、錬金術ではないということだ。勉強の成果が出るのは、絶対数がいる。学習の裏づけがないのに「自信をもて」「自信をもつ」と唱えるだけで、埋められるわけはない。このような自信は空手形に空証文の類である。自信云々と思う時間があるなら、問題の300問はやるべきでる。

形から入れという。ならば自信をもつにも、カラ自信・カラ元気から入ればよいのであろうか。しかし、カラ自信の類は見ていて痛ましい。ときにそれが個性にもなって、その人のよさにもなるかもしれない。がんばり屋は見ていて気持ちのよいものだ。引き上げてくれる人も現れるだろう。しかし、そんなに力まないでといいたくなるのも事実である。

自信というのは、まあできるだろう、位のものである。多少は不確定の要素が混じっている。100%の自信満々などは、どこか違った風のものを感じる。少数の人しかもち得ないものだ。試験なんてものはよくて6割、運良く7割キープできればよい。完全な信仰の人の自信を100とするなら、われわれの自信は7割強で十分であろう。

自信をもつ、という言葉がふさわしくなるのは、合格レベルの実力を有した人である。合格レベルなのに、なぜかその力を発揮できない人がいる。押される、焦る、プレッシャーに負けるなどなどである。

自信の前提は、合格に足る量をこなしたことである。100のところを50・20で済ますのは、天才・秀才の人である。ならば普通の人は、100のところを150、120やればよい。われわれは、小を以って大を打つ事は考えない。

形から入ると、空虚な掛け声だけで終わりやすい。会社や役所や商店に張られている標語を見よ。どこぞのコンサルタント、体のいいセミナーで書かれてきた紙を見よ。じっくり読んだら店長・エリアマネジャー、役員の顔と見比べよ。必要な張り紙は、「THINK」であろう。

自信をもて、とは数の裏づけをなくすわけではない。中身のない掛け声ではない。それは単純に、漠然とした不安に向かい合うことである。漠然と、というのは、その通り漠然とという意味である。理解不足・記憶不足の穴を埋めていけという、漠とした対策を行えということなのだが、しかしそれは、個人的なことなのである。他人の目からでは窺えないものである。当の個人でしかわからないうえ、その人自身でしか対処できないところにある。そして当の個人が未だ見つけていないものなのである。

ときに「自信をもって」としかいえない人もいる。合格レベルの演習はしているが、何かが足りないのである。(しっかりは、やっている。しかし「何かが」ない。よくわからないけど。それを越えると楽になるんだけど。どこだろ。なーんか重要な何かを落としていそう。。。)「自信云々」をアドバイスしてくれる人は、あなたに、確かに何かやるべきことがあるのだが、ピンポイントで突くことができないのである。

だからといって「自信をもて」というアドバイスは意味もなく、苦し紛れの修辞で朽ち果てるのだろうか。いや、そうは思わない。我々は、ひとつの言葉にいろいろな意味を付与して使っている。発した本人でさえ気づかないある何かをこめている。例えば、「おはよう」である。すくすく育ってね、がんばってね、今日もご飯を有難う、しっかり働いてね、かったるいけどガッコ行ってくる、などなど、何かを込めて言葉をかけあっているものである。

自信をもて、といわれたら、込められた意味を一度、把握してみることである。他者の目から見れば、何かが足りていないのだ。それが込められている。だからといって、焦ることもない。そう感じさせた原因は、10指に満たない。コツコツ復習して、自分の弱点や間違い、過去問を解き直し基本書を読み直していれば、「あッ」と思うところはそれぐらいだ。あと10個のラインまで来た、そう思うがいい。「自信」が頭をよぎる様になったら、ゴールは間近なのである。

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