計画も独学

独学では、学習計画が不可欠である。もちろんたてるのは、めんどくさい。しかしやはり、たてた方がトクなのである。較べればわかる。むやみやたら進めたり、今日はやったりやらなかったり、昨日タップリ今日はゼロ、明日はちょっぴりなんてことになると、エネルギーの消耗戦である。何かの些細なきっかけや事故で、結局、脱落してしまうものである。

学習計画なき勉強は、手際の悪い上司の指示・右往左往するデエトといってもよい。どれだけ忍耐エネルギーを浪費し、いかにしイライラすか、御理解頂けるかと存ずる。

学習の計画は立てるべきである。指針や方向性が見えないと、エネルギーの効率が悪いからである。しかし、計画をたてられないという人がいる、計画をたてても破綻する人がいる。そういって尻ごむ人がいる。しかして、それはそれでよいのである。

個人的な計画談をいうと、計画の実行度は次のようだった。直前期の学習計画は、きちんとシッカリこなせた。しかし、中盤期の計画には、無理があったり無駄な作業を組み入れてたりと、時々作り直したものである。序盤となると、グダグダである。ある日は多すぎ、ある日は少なすぎ、毎週毎日、大きく小さく計画を練り直したものである。

考えてみると、完全な計画というのは、事実上、ないのである。完全な計画は、完全な実力を有し、完全に合格できる人でなければ、たてられぬ計画のことである。完全な実力を有している人とは、まず合格者であるが、これには鮮度が要求される。合格年度から離れるにつれ情報が古くなるからだ。合格後直近1年が、完全な計画をたてられるだろう。2年3年たてばもう、たてられまい。

つまり、受験生では完全な計画などたてられないのである。一定の条件を満たす合格者のみが、完全に合格を果たす、完全な計画をたてられるのである。ハナから完全な計画を求めても、受験生という理由で弾かれるのである。もっといえば、あなたにとって、自分にとって、完全な計画、つまり個別事情を踏まえた計画など、一体誰がたててくれるのだろう、というわけである。そして、こういえる。いったん完全な計画・日程ができたとして、途中で風邪を引いたらどうするの、というわけである。

こうしてわれわれは、合格を完全に保証する計画の存在をあきらめるにいたる。われわれは受験生であるし、われらの私生活に即したプランなど、両親でも御配偶者様でもできっこない。しかして、われわれは、不完全な計画を自力でたてねばならないようになる。不完全であるから失敗はやむをえない、いや、失敗・破綻してこそのわれわれの計画なのである。

さて、計画にまつわるイメージを総すれば、理性、知性、理知、といったところである。しかし、実は、計画に求められる力とは、再び計画を立てる力にほかならないのである。そして、この<<再計画力>>の源泉は、想像力なのである。われわれは計画の、緻密さや物堅さやまじめさといったイメージに、想像力とちゃらんぽらんさを加えねばならないのである。

想像力は、ちゃらんぽらんでなかれば羽ばたかない。「心の余裕」がなければ羽ばたかない。「このくらいなら、まあ、できるんちゃう」「こうやったから、つぎはこのくらいでえんちゃうん」「これはできへんかったぁ、こうしよか」など、計画の各要素の組み立てるとは、ちゃらんぽらんな言で出来上がっていくのである。

想像力は、試行錯誤の学習が進み、周知のことが増えるにつれて、伸びやかに働く。われわれは、想像できることだけ、実行できるのである。であるから、われわれは、勉強して実力がつくに従い、同時に計画をたてる想像の源泉も、手に入れているのである。そして想像力が増すに従い、コウしてアーしてコレもせん、アレも見とかなアカンがや、と具体的で実行可能な、勉強計画の内容を思えるようになるのである。

学習計画は、現に応じて、いくらでも変えていけばよい。たて直せばいい。まったき計画の遂行なんて、直前期の1ヶ月くらいである。序盤、中盤なんて計画を練る毎日であった。いくらでも変更すればいいのである。計画は変化するものである、われわれの想像力でいかにでも生まれ変わるものである。想像力は、日々の勉強の中で生まれ蓄積される。計画は、これを絶対的に取り扱う必要はないのである。計画力は、学習の進展と時を同じくして、同様に生長しているのである。

われわれは、計画経済の破綻を見た。〇〇プラン、〇〇マニフェストと金科玉条に声高く叫ぶ人を知る、本心では出来もしないことをできると叫ぶ人を知る、宣伝と暴力が勝利を呼ぶと信じて疑わない人を知る。彼らの真似さえしなければよい、と簡単にいうと、そういうことになるのである。

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