増やす人減らす人

・やることまるで正反対

上場企業と中小とでは、やる事大きく違うのである。かたや増やして、もう一方は減らすのである。

中小企業は、この売り上げはなかったことと圧縮し、もういっぽうで幽霊社員バイトを抱え、費用は過大に計上するのである。

上場し企業は、利益を水増ししようとする。売り上げ更に大きくす。自社製品を関連会社でくるくる回し、アララ最後に自分で買い戻せばなぜだか売り上げ増えている。売上高株価比率である。伸び盛りの企業に適用された指標である。作った人はアタマいい。

かたや費用は少なく計上するのが常である。できた損失子会社移しまあかろうじて黒字にすといった塩梅である。子会社がダメならそれならなんとでもするが会計士の仕事である。またも見つけてくるだろう、芸である、業師の仕事である。

かつてかの米国で固定資産を1ドル評価、減価償却ゼロにして、利益の水増ししたという。1900の30年代の話である。そして、水増し利益は通ったのである。根拠に株は買われたのである。信じる人信じたい人がたくさんいたのであろう。今も昔も変わらない。

国は架空の利益でも多さに応じて税を取れる。オーナー役員経営者は高値で株を売れ、金屋と株屋はFEEを取る。そして一般投資家は、儲ける利ざやのチャンスである。

かつての中小企業のお社長さんも、功成し遂げて晴れて上場企業の末席に連なれば、おそらく同じことするだろう。減らす人から増やす人へ、である。わたしも同じく減らすだろう増やすだろう。なあに高値に持ち上げて自分の持ち株を押し付けるつもりである。


・事情である都合である。

個人保証した借金の返済であろう。不義理を重ねた恩人への手土産であろう、苦労をかけた家族親族へのせめてもの労いだろう、初期の金主への義理だろう。

事及べば粉飾するが、人の世である。なあに粉飾のタネなどいくらでもある。三面鏡前のガラス瓶のことである、魔法の鉛筆群である、洗面台のスプレー群の類である。百貨店の1階のことである。

人類の半分は長く紅さしおしろいはたいて着飾ってきた。化粧は粉飾である。人類の半分は粉飾を生業に生活の一部としてきた。人類を四捨五入すれば、粉飾である。

なあにもう半分にもカツラを被る人、ヒミツの靴を履く人、ビガーの下着、上野の病院にドッキリする人もいよう。アレもやったコレもやったと酒屋で息巻く人もいよう。履歴書経歴書、赤面せずに見れようか。また飾られざる履歴など見ても呉れない歯牙にも掛かぬノラネコさえ一瞥しない御時世なのである。粉飾は仕方のないことなのである。

古人は、「かばかりに 偽り多き世の中に 子を思うこそ まことたるらん」と歌にした。真とはごくわずか十指で数え上げることができるものなのである。

世は粉飾なのである。これまでもこれからも粉飾なのである。人には事情が出続けるからである、都合がつかないからである。


・上がるもの下がるもの、減っていつしかなくなるもの

利害の伴わぬ合格者でも、熱さ過ぎればなんとやら辛い記憶も薄れ行き、なぜだか簡単・楽だったと思うものである。覚えが悪くて憮然茫然唖然しあんなに苦労したというにもう忘れているのである。よく受かったものであると我ながら思うのである。

合格した人の中には、簡単ともいおう、難しいともいおう、どちらも「自分はこんなにアタマがいい」といいたいときである。故に難易度は上がったり下がったりするのである。

勉強時間も同様である。「こんなにがんばったの!」とほめられたいときに、勉強時間は増えるのである。アタマの良さを誇りたいときに、割り引いた時間をいうのである。

難しい!!と落ちた人の中には正当化する人もいよう、なあに古代ギリシアのぶどう大好きキツネくんを引くまでもない。

偏差値難易度受験期間、勉強時間といった受験の数字は、こうやってできたものである。

ベテラン経理マンのベンキョ200時間と卒業したばかりの青年のそれとは、似ても似つかぬ時間であろう。数量分析でなく定量分析であるが、できるものでもない。故にハッキリわからないのである、当然である。

受験の数字は、人の機微でできたものである。ひとの人情機微事情で出来上がりし数字である。手練手管の技である。広告CM折込チラシ、くどき文句の類と同じ、割り引いて読むがよい。

情報は人を欺いてこそのものである。割り引き差っ引きこねくり回し、加えて減らして乗じて除き、半値八掛け2割引したあたりでようやく信憑性がでてくるのである。

それを計算するのがメンドウならば、参考意見だけにしておくがよい。アレコレ数字を気にするよりも、目の前のテキストや問題集をやるがよい。復習に時をあてるがよい。やった回数読んだ回数だけは裏切らない。当てのない数字を根拠にしてアレコレ思い悩むなど、愚の骨頂である。

大切なものは目に見えないと、今は老いしキツネはいった。目に見えざるは人の機微なのである。

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